設立趣旨書

日本臨床未病医学会設立趣旨書

未病に関する情報は、最近になってネット、テレビ等で多く取り上げられている。しかし、正しい未病概念もあれば誤った未病概念も横行している。「未病」とは「未ダ病ニアラザル」で、病気即ち疾病が発症していないことを言うのであるが、検査値に異常が有って自覚症状がないことを西洋型未病としている学会も存在する。学会の公表であるから一般には信じられてしまうであろう。しかし、誰が考えてもどんな理由を付けても検査値に異常が有れば疾病を発症しているであろう。未病の普及の重要性は、疾病が発症する前に治す(管理する)ことで健康寿命を延ばすことと国家の破綻を導く医療費の減少に貢献することである。しかし、検査で異常が発見されたり、自覚症状が出てからでは未病の存在意義が無くなってしまうであろう。
未病とは、「検査値が異常に近い状態及び自覚症状というほどでもないが何かすぐれない心身の状態または不摂生な生活をしている状態」である。その未病からできるだけ早く脱することが重要で、検査値に異常が出る前、自覚症状が出る前が重要なのである。
一方、臨床とは医療現場であり、未病とは臨床現場に人を近づけないための東洋型保健の分野である。従って、臨床と未病は、ある意味で相反する概念でもあり、また、未病が東洋医学から発祥した経緯もあり臨床現場に未病概念は全くと言って良いほど普及していない。しかし、完治、寛解した患者も再発予防があり、治療中の患者にも新たな疾病が発症する可能性は大である。その患者のために西洋医学の再発予防のみではなく、治未病(未病を管理)を行うことは重要である。それが、「臨床未病医学」である。また、別の研究対象としては、臨床医学と未病医学の統合した医学を臨床未病医学と言うこともできるであろう。
以上のように、私たちは、正しい未病概念の必要性を主張し、正しい未病概念を広く社会に普及すると共に臨床現場に未病概念を普及するために新たに日本臨床未病医学会を設立するものである。

令和4年12月1日

日本臨床未病医学会設立発起人会